【後編】人力車の限りある時間の中で、ひとりひとりに寄り添う。× 清水伸彦

Photo by 清水伸彦

もっと東京の良さを知るべく浅草へやってきた我々は、浅草でフリーの人力俥夫×フォトグラファーとして活動されている、清水伸彦氏(以下清水氏)に「自身の思い入れのある場所や地元に根付いた場所」の案内をお願いした。

人力車に乗ってまずは王道のルートを周ってもらい、今度はディープな「裏浅草」エリアへ突入していく…。

▶︎ 前編はこちら

浅草観音裏の花街エリアへ

工事中の浅草見番

先ほど周ってきた雷門周辺・伝法院通りの喧騒が嘘のように静かな「浅草観音裏の花街」に到着。目の前にあるのは「浅草見番」という、芸者衆の手配などを行う浅草花街の中心施設だそう。清水氏は以前撮影の下見で中を見たことがあり、稽古用の踊り場が圧巻の広さだったという。

※見番は一般人の立ち入りを禁止しています。

行きつけの台湾スイーツ専門店「浅草豆花大王」

花街には、浅草ツウや地元の方が愛する料亭や菓子店が並んでいるそうで、清水氏の行きつけをいくつも教えてもらった。そのひとつ、台湾スイーツ専門店「浅草豆花大王」に立ち寄ってもらい、よく食べているという芋トッピングを注文させてもらった。人力車の上で食べる豆花は格別だ。

馴染みのお店「たい焼 写楽」でひと息

たい焼きを食べる清水氏とアカリ氏

さらに、清水氏の馴染みの「たい焼 写楽」で元祖浅草天然たい焼きを注文。香ばしい薄皮と、たっぷり餡の詰まったたい焼きを噛み締めた。店主が清水氏と仲睦まじく話しているのを見て、ここでの日常の温かさを感じられた瞬間だった。

ひとりひとりに寄り添う人力車とは

人力車の終了が近づいてきたとき、清水氏にこれまで来たお客さんについて聞いた。すると、明るい気持ちだけで観光に来ている方だけではないようで、末期がん患者の方や、亡き父の住んだ街をひと目見ようと来る方など、色んな背景を背負った方がいたという。だからこそ、同じ道を案内するのではなく、ひとりひとりに寄り添い、道を考えてきたそうだ。

清水氏のお客さんを軸に考える姿勢は、写真家として被写体に寄り添い人それぞれの表情を引き出すという仕事にも通じていると感じた。

今回のまとめ

【行った場所】

  • 浅草観音裏の花街エリア
  • 台湾スイーツ専門店「浅草豆花大王」
  • 元祖浅草天然たい焼き「たい焼 写楽」

【知ったこと】

  • 見番がある街には芸者さんがいる
  • 花街には秘密にしたい料亭や洋食屋が目白押し
  • 清水氏の人力車では人に寄り添った道と写真を提供してくれる

【トモダチになった人】

  • 人力俥夫×フォトグラファーの清水伸彦氏

筆者が案内された秘密にしたい花街のお店、知りたい方はぜひ人力車に乗ってみてほしい。

清水氏に撮っていただいた素敵な写真を一部ご紹介(Illustration by アカリ)

清水伸彦

下町葛飾区の江戸切子職人の家に生まれる。大学時代から独学で写真を学び始める。在学中の2012年日本写真協会主催の『公募による写真展』においてヤングフォトグラファー賞を受賞。2019年にフリーフォトグラファーとして独立。同年2019年ビートたけし氏が名誉顧問を務める。『えどまち たいとう芸楽祭』に出演するチーム東京アフロの専属フォトグラファーに任命。その後飲食物や企業の商品・広告写真などを中心に撮影しつつ。アーティストの宣材撮影や大型音楽フェスなどの撮影も行う。写真業と同時に東京浅草にてフリーの人力俥夫としても活動。提携店と協力し「人力車観光×撮影体験」という新しい観光スタイルを提供している。近年では定期コラムや料理レシピの執筆活動や撮影講座などの講師としても活動をしている。

proff × 清水伸彦

Photo & Writer by スミレ

東京生まれ・東京育ち、フリーランスのカメラマン兼ライター。

ビジュアル制作会社にカメラマン兼オウンドメディア運用担当として勤務後、クックパッド株式会社にてカメラマン兼ライターとオウンドメディア運用を担当。現在、独立しビジュアル撮影をメインに活動中。

Illustration by アカリ

47都道府県Tシャツのデザイナー。

絵描きの祖父と衣装デザイナーの祖母の影響で幼少期から絵とファッションへの憧れを抱く。その後某服飾専門学校でデザインを学び首席で卒業。ファッションデザイナーの経験を得て、現在はイラストレーター、グラフィックデザイナーと、ファッション性を落とし込んだ幅広いデザイン領域で活動中。