今回は、江戸時代から続く京扇子屋『宮脇賣扇庵』の京都本店にやってきた筆者スミレと筆者の従姉妹でシジュウナナデザイナーのアカリ。
宮脇賣扇庵のスタッフの高野さんにご案内いただき、京扇子の世界を覗かせてもらった。
※京扇子とは…京都扇子団扇商工協同組合の組合員が、扇面・扇骨・仕上加工まで国内生産したものだけが“京扇子”と表記できる
宮脇賣扇庵は、文政6年(1823年)に創業した京都の老舗扇子店。扇子の製作は、87回職人の手を通るといわれるほど細かく20余りの工程の分業制となっており、宮脇賣扇庵は優れた職人とその技術を確保した製作工程の管理と販売を担っているという。
▽扇子の製作工程
2階に上がると、圧巻の天井画に見惚れた。この天井画は鉄斎、栖鳳、直入など京都画壇の巨匠48画伯によって描かれた扇の絵だそう。他にも、東都の著名な画家12人による扇面画、江戸時代に活躍した芸術家の作品などが展示され、貴重な美術作品を鑑賞できる空間となっていた。
江戸時代は平均身長が低かったため扇子も小さめに作られ、現代では平均身長の伸びに合わせてサイズも大きくなっているのだとか。今は紙製の多い扇子も、かつては木製が主流だったり、扇子の留め具である「要(かなめ)」が、昔は鯨の骨が使われていたが現在は金属製が一般的になったという歴史を、展示品や商品を見ながら辿ることができた。
切手を貼って郵便物としてそのまま投函できる「郵送扇(ゆうそうおうぎ)」、蛍が隠れている仕掛けのある扇子、落語家向けの「高座扇(こうざせん)」、若手クリエイターとのコラボ作品など、多様な扇子を見せてもらった。気軽に持ち歩きたいオシャレな扇子から、大切な人に贈りたいと思える扇子まで、1日かけて選びたいほど魅力的な扇子が沢山あった。
編集後記
宮脇賣扇庵 | 京都本店
創業文政6年。京都市街の中心部、東西に走る六角通りと南北に走る富小路通りの交差点を東へ少し入ったところ。
宮脇賣扇庵は、虫籠窓に紅殻格子、表に張り出した床几など、古き良き京の面影をとどめる近世の町家そのままの店構えで、観光客の観光ルートとしても知られています。
店内には、明治期の京都画壇の巨匠四十八画伯によって描かれた天井画などの絵画や書などが多く残され、京都や日本を代表する画家との深いつながりを今に伝えています。
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ビジュアル制作会社にカメラマン兼オウンドメディア運用担当として勤務後、クックパッド株式会社にてカメラマン兼ライターとオウンドメディア運用を担当。現在、独立しビジュアル撮影をメインに活動中。
絵描きの祖父と衣装デザイナーの祖母の影響で幼少期から絵とファッションへの憧れを抱く。その後某服飾専門学校でデザインを学び首席で卒業。ファッションデザイナーの経験を得て、現在はイラストレーター、グラフィックデザイナーと、ファッション性を落とし込んだ幅広いデザイン領域で活動中。