全ての10代の「意欲と創造性」をつくるための活動 × カタリバ

今回は「学校に多様な出会いと学びの機会を届け、社会に10代の居場所と出番をつくるための活動」をおこなっている認定NPO法人カタリバ(以下、カタリバ)の東京本部にお邪魔し、松本真理子氏(以下、松本さん)にお話を伺ってきた。

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全ての10代の「意欲と創造性」をつくるための活動とは?

カタリバは、経済的に厳しい環境で生きる子どもたちから、一見すると問題なく生活しているように見えても思春期ならではの葛藤で悩む子どもたちまで、日本中の10代の子どもたちのそれぞれの課題に合わせた「被災地の子どもへの支援」「学校や行政と協働した教育魅力化コーディネート」「探究学習プログラム提供」などおこなっており、「10代の頃から未来はつくれると信じられる意欲と創造性」を育むことを目指しているそう。

家でも学校でもない「居場所」が視野を広げる

カタリバを卒業する子どもたちからの手紙(一部抜粋)

子どもの世界は、大人よりも人や社会との触れ合いが限られ、選べる未来の選択に気がつかなかったりと視野が狭くなりやすいため、カタリバとの「ナナメの関係」によってきっかけを広げたいと言う松本さん。ナナメの関係とは、家族や学校の先生や同級生の友達でもない、「一歩先を行く先輩」という新しい関係を指し、その近すぎない距離感が安心に繋がり、想像できなかった将来の選択肢を知る機会にもなるとのこと。カタリバを卒業する子どもたちからの手紙を読むと、そのナナメの関係によってカタリバという場所が追い詰められずに安心する「居場所」に繋がっていることがわかる。

不登校の子が生徒会長になるまでの「充電期間」

「充電期間」の必要性について共感するアカリ氏

カタリバの活動のひとつ、不登校支援プログラムでは、学校に通うことが難しい子どもに対し、臨床心理士や社会福祉士などの専門性を持つコーディネーターらとともに、一人ひとりに合わせたサポートをしているそう。過去にカタリバを通して不登校の子が生徒会長になるに至ったケースもあるそうで、その時はスタッフが安心できる話し相手として長期に渡る交流を続け「学校にいくためのパワーを集める充電」としてサポートしたという。

じつはアカリ氏も、学校に行きづらかった時期にたまたま入院が重なり、病院で明るい看護師さんや患者さん達と出会えたことが自分を前向きに受け入れるきっかけになったという。まさに充電期間と、ナナメの関係によって前向きになれた実例だ。

▼カタリバの不登校支援に関する詳細はこちら
・拠点運営型「おんせんキャンパス」
https://www.katariba.or.jp/activity/project/onsen/
・オンライン型「不登校支援オンラインプログラム」
https://www.katariba.or.jp/activity/project/futoko/

全国の高校生に向けた取り組み「マイプロジェクト」

さらにカタリバでは、日本全国の高校生に向けて「マイプロジェクト」という、身の回りの課題や関心をテーマにプロジェクトを立ち上げ、実行することを通して学ぶ、探究型学習プログラムを広げる活動も行っているそうだ。2013年東日本大震災で被災した高校生から始まったこの取り組みは各地に広がり、2023年3月に開催された全国Summit(全国大会)には約2,600プロジェクト・7,000名の高校生が参加したとのこと。松本さんの実体験として、学校の教え通り大学まで真面目に勉強してきたが、社会人でいきなり主体性を求められ、主体性を育む機会の必要性をつよく感じたという話からも、このマイプロジェクトの取り組みが未来に繋がるとつよく感じられた。

▼マイプロジェクトの詳細はこちら
https://myprojects.jp/

今回のまとめ

【行った場所】

  • NPOカタリバ

【知ったこと】

  • カタリバでは全ての10代の「意欲と創造性」をつくるための活動をおこなっている
  • 生活レベル関係なくいろんな悩みや葛藤に寄り添っている
  • ナナメの関係によって視野が広がる
  • 不登校支援プログラムは子どもと親の両方のサポートをおこなっている
  • 全国の高校生を対象とした自分でプロジェクトを立ち上げ実施する「マイプロジェクト」を推進している

【トモダチになった人】

  • 松本さん

 

編集後記

カタリバのエントランスでの記念写真(左・アカリ氏、中央・松本さん、右・筆者)

カタリバが出会った子どもが、大人になってカタリバのスタッフとなる事もあるそうで、それがとても嬉しいと語っていた松本さん。

今回お話を聞いて、一回きりの特別な行いをすることに重きを置くのではなく、子どもたちが安心して自分を出し、自然体でいられるような居場所づくりを日々の積み重ねからしっかりつくっていくという姿勢に、子どもたちへの真摯な気持ちを感じました。

着用Tシャツ

認定NPO法人カタリバ(認定特定非営利活動法人カタリバ)
予測不能な変化が起きる時代、自ら人生を切り拓き、豊かに生きていくためには、生涯学び続ける「意欲」と、変化の激しい時代を楽しみチャンスに変える「創造性」が必要です。

NPOカタリバは、どんな環境に生まれ育っても、すべての10代が意欲と創造性を育める「未来の当たり前」を目指して挑戦している、2001年創業の教育NPOです。

事業内容:
― キャリア学習・探究学習プログラム提供
― 被災地や困難を抱えた子どもへの居場所提供・学習支援
― 高校や行政と協働した教育魅力化コーディネート など

https://www.katariba.or.jp/

Photo & Writer by スミレ

東京生まれ・東京育ち、フリーランスのカメラマン兼ライター。

ビジュアル制作会社にカメラマン兼オウンドメディア運用担当として勤務後、クックパッド株式会社にてカメラマン兼ライターとオウンドメディア運用を担当。現在、独立しビジュアル撮影をメインに活動中。

Illustration by アカリ

47都道府県Tシャツのデザイナー。

絵描きの祖父と衣装デザイナーの祖母の影響で幼少期から絵とファッションへの憧れを抱く。その後某服飾専門学校でデザインを学び首席で卒業。ファッションデザイナーの経験を得て、現在はイラストレーター、グラフィックデザイナーと、ファッション性を落とし込んだ幅広いデザイン領域で活動中。